Novel / のべつくまなし


「――そんな顔を見せるな、しらけるだろ」
 開口一番そう言って眉根を寄せるホーネットをよそに、物見台の階段に腰を下ろしたビュウは深いため息をついてみせた。
「少しは気を遣ってくれてもいいんだぞ、航海士」
 「はいはい。 で、何かおかりでしたか、隊長殿?」
人の不幸は蜜の味とは言ったものだ。トラブルの香りを嗅ぎとったホーネットは、趣味が悪いとは思いながらもにやけ笑いが止まらないのだった。

 「人が悪いぞ、告げ口するからな。 ――といっても大したことじゃないんだが、ホーネットもその立場ならよく相談を受けるだろ」
「そりゃあ、ボスだからな。経験の差に関係なく、戦時中の戦艦なんかで働いたことのある奴のほうが稀だろ」
 ホーネットの返事にビュウも頷く。といっても二人とも経験が浅いことに違いはない。誰にも相談できないからこそ、わかり合えるものもある。
「今日は何人だ?」
「五人だ。 うち二人はそこにいるけどな」
「それはどっちへの用事だ?」
「さあな」
 ビュウが開け放しにしたドアから覗く、ふわふわ揺れる青いリボン。これから起こるであろう事件の匂いに、二人は視線を巡り合わせて思わず苦笑したのだった。
のべつくまなし
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意味:ひっきりなしに、絶え間なく続くさま。
結局船からは逃げられない……!
とはいえドラゴンがいるだけマシなのかなと。
20210219



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