「綺麗だね、って言ったらどうする?」
「…………?」
問われて、緑の目をした彼女は困ったように首をかしげる。
彼自身も投げかけた言葉に恥ずかしさを覚えたのか、二人の間をはらはらと落ちていく花の枝に視線を移した。
「桜。きれいだよな。二人でこれてよかったよ」
はにかむ彼の表情と言葉を味わうように彼女はゆっくりまばたきをすると、形のいい口をそっと開いた。
まるで、この風景を壊してしまうことを恐れるかのように。
「きゃうう」
しかし発せられた彼女の言葉は、到底人には理解できないものだったのだ。
それでも彼は気にするどころか嬉しそうに目を輝かせて、彼女の鼻先に口付けを落とすと大きく両手を広げて抱きしめた。
「やっぱりサラもそう思うだろう? 一度きて見たかったから、喜んでもらえて一安心だ」
「くうう」
甘えた声とともにぐるぐると喉を鳴らしながら、サラと呼ばれた彼女は小さく口を開けて彼の頬をぺろりと舐める。
それが彼女の、彼にできる直接的な愛情表現だった。
どうあがいても彼女はドラゴンで、これ以上の表現のしようがないからだ。
愛しいパートナーの存在を確かに感じながら、彼女は思いを託すように花の雨を眺めるのだった。
「綺麗だね、って言ったらどうする?」
ビュウサラみたいなサラビュウみたいな両思い。
尻切れ感すごいけどこれで30分なんです選択に時間取りすぎ。
170417